いつかのお題サイト、雨花にあった言葉です。ご自由にどうぞ。
(サイト名を書きたい時は、まよい庭火でも雨花でもお好きなほうをどうぞ)



あなたに逢えてよかった
愛づらしき目みの赤きに、滲む涙を指に吸い
灰送り
何度目に花の雨が降る
雨降り夜の、明日が寒くないといい
夏の空気に呼吸を載せて、
雲から伸びた庭の蔓

囁きを生むつま先
帳の中では眠らぬ光
桜の水を泳ぐ魚
声に孤独がありませんように
まるで世界はさみしげに
また今日もひとつ星が落ちる
ゆびさきの炎

旅人に降る花の色
めくら燕の夜
水槽の中の鳥と
うつくしいのはきみの影
蝶に夢を
目覚めて遠い雨の中
音を食む星

たゆたう夢魔
路の灯(みちのひ)
羊空に昇る
雪融け萌芽
月に澪
真昼が丘
花を待ち、香りを運び、あなたは来ない

「僕は帰ってくるよ」
葉裏の雫が落ちて消えゆく
赤い夕日、背に血を負って、貴方は私の手を離す
声を吸う雪
眠って深く目覚めないで
「嘘、ついてないからって」
真夜中のピアノ

そして羊がいなくなる
箱庭忘れ
ここに、いました
いろとりどりのものの夢
花に雫を
君よ箱庭に咲け
草葉に孤独

薄氷の湖上、きみに花を
霜降る指に繋ぐ
夕暮れ見てもここにいて
春の薄氷
燃ゆる火託して流した
黄昏おとし
意思あるしもべ

寝ない子の枕辺に立つはさみとぎ
舞う傷
三日月にのぼる
きみの心を葬ろう
虚ろな波に銀の月
盤上皇帝
汝の駒を愛せよ

夕焼けに薔薇と桜
王は敬意を払わない
指針はすべて砂の上
闇に悪魔が潜むので
権勢は夜の海の中
それから海は
あなたの沈んだ浪ばかり

寄る辺で響く音
爪の先からみちみちに落つ
幸福を伝える人を
敬虔な経験
刹那に咲いた空
おやすみのキスで目は覚めない
灰のけしきが無音に戻る。

つよさを手にした孤独の為に
「あなたに逢いに来ました」
「どうして一緒にいられないかなあ」
「泣いてない、目がぬれてるだけ」
ことだまのない呟き
夢のおなか
きみの亡骸ひとつ抱いて、

私の中から消えてゆく葦の輝き
君の為には死ねない
門出が開けるのは、道程がきみの残り香で満ちていたから
三度呼んでも空気は創れなかったので
きみには叶わない
墓石を彫る男
淡枯れ

「でももう少し、きれいなものの方がいいかな」
胸が痛いので無願いたい
だから、分からないままでいる
夜病み
わたしは語る言葉をもたない
花と帰途
心中の霊の不在

灯る光のコンフリクト
私を絶望させますか
色多き虚(うろ)
「とにかく私は、人を愛さないことには生きていけません」
日ごと愛憎の関係
築けない道程に気づかない奴隷
希う

穢れなき葛藤に終止符を
恋文の亡骸
旋律もかけらだけ集め
船守の橋渡し
皇帝に愛されたいと願うこと

グッバイスリープ、ストレイシープ
声をください
F教授の憂鬱
儚いものが集まる昨日ならば
紫陽花の季節に死んだひと
野なかの薔薇
黄色い絵

森の彩り、その申し子
雨が咲く
慕情は橙
逢魔の雨
恭しい夜
貴方の後に紅い霧
鉄を溶かした血の空に

花の坂道独りで
うすくらがりにひそむ。
黄色い空に伽藍の目
路傍の花に積もる雪
ゆうぐれ、とわに
その子は誰にも見られない
屋上に手紙と少女

頭に被るアイデンティティ
しあわせを願う
十二時に起こしてください
「先生と化学なんて話したくない」
将軍の黄色いマフラー
ほつれる冬
迷い羊に蝋燭を

手をとる
ナポレオンジャック
寄生木の木曜
片腕の追憶
平和をつくり出す人
戯言に彷徨う
戯曲の夜

存在の美醜も厭いません
空中の有象無象
十二番目の皇帝
百合が咲くのは崖のふち
問題に作用していられない
雲の上まで蔓を引く
鏡が映すは日の陰り

差し伸べた手は音も無い程
優しくおおきく哀しい人
祈りのモザイク
あのこはいくよ
いつか還る
そしたら君は本当の、
星の眠れる夜

王様の外套
茜の手毬は子の願い
世界をこの手に作ります
母は、狐の寝台で
音や、夢に見る是の色や
笑顔ひとつで粛清を
ゆかり色付けど君知らず

英知は毒より浮き上がり
音迷路
醜悪な殺意から
どんなふうに笑えば届くのでしょうか。
うんめいらせん
空白の充填
痛まない雨

一朶の花
菫と紫苑
雪森
蝋燭の人
羊の後で草を食む
隅で咲く
この星の日常は連綿と続いていくのでありましょう。

平静が俄か雨へ
初夏のアタラクシア
箱庭在ると
まどろむ影
木曜日はワルツ
言葉のお値段
手紙言の葉も綾でして

銀色に染まってゆく
水色の午後
入道雲のアポトーシス
願いは証によって現実となる。
中世より弛まず刻み続け
薄藍に水玉を浮かべる
君の瞳に映る僕に乾杯

英雄は利己主義の追及の為に。
かれこれ三日ほど鏡の前で
慈しみを受けてこそ美しい
夜というのは眠る為にあるのだと
俎上にあって夢思うものか
死者の鏡
花と宿鴉

孤の現実
切実でないと申しますか
空気が奪うよりも早く
祈るために祈る
淡く、にび色に色付く
冬のみしるし
smiley hemi
蒼い命の免罪符
水が流れるのは
ゆびさきに消えるような
イノセントユーマ
散る散る送致
雨染みず降る花待ちに