恋歌は秘めておくもの
憂いは美しくあるもの
背中は遠く優しいもの
積木は綺麗に飾るもの
我欲は殺して泣くもの
睡蓮は深くで咲くもの
希望は貴方が持つもの

冷える手はやさしく取ってあげてね
残忍にならないよう叱ってあげてね
迷うときは手を借りないで決めてね
累月に得たものを一つずつ教えてね
妄念が宿った目には目薬をあげてね
怖いことがあっても笑い飛ばしてね
若葉の季節には魅入られずにいてね
いい笑顔は理由を教えてもらってね

秘密を暴いてはいけない
逆鱗を探してはいけない
菊花を贈ってはいけない
理解を求めてはいけない
恐れを育ててはいけない
それに答えてはいけない
論理を説いてはいけない
仕上をさせてはいけない

扉の奥に誰かいる
うしろみないで
来春まで生きていたら
ぶくぶくさんと三回唱えないでください
星影瓶への注意喚起
乱杭歯についての手記
あわいに住んだらどうなった?

きみが育てた無形の怪物
湖底まで
蛇よりも賢いひと
星の埋み火
群像劇
海のひとひら
愚かもののワルツ
ひとりずつ消える
「たすけて」
仮面をもたない嘘つきの話
地獄の春に住んでいる

世界が燃えていくのを見たい
結び目を切る
悪夢と朝食
ここは天国の庭
おとぎばなし捜索隊
わたしは青猫
鬼火かぞえうた
ずるい子
夢で手をひいてくれた人
透ける幽霊のうわさ

春の牢獄
夏の亡骸
秋の草陰
冬の夜雨
ようやくいなくなる
あなたを手折るということ
悪夢について
「あのね、ほんとうはね」
くるくる、くるくる
夢食いこびとはもういない