影を切る夏の一日に(ひとひ)
橙星ふたつ
花送りの夏
いつでも太陽の匂いがしたこと
ゆびさしづくめ
いらない子いない
嘘を夕日と
生き急ぐ指
夕守りの矜持
花咲くかばね
背中合わせの恋情
骨を抱く腕
霞の燃える宵
泡にとけた背中
冬をさらう嵐
ゆるいつぼみ
ぼくの左手を知りませんか
奇跡を箱に捨て
花の眠る夢を見た
夏の坂
花もみどりも雨の色も
『がりん、』
ねむの木ぬれて
「輪廻太刀斬り彼岸からだって戻ってくる!」
似ないでね、僕の鬼に
根の先に萌ゆる紅
足りぬ存ぜぬ獣の内
幾度の夕澄みも野の果て
春待ちの座標から
しじまに真綿を敷いて眠る子
小指の先から呼んでごらん
好くな、
いられなかった三日間のこと
知ったかぶりの蟻の子と
幽路(ゆうろ)
指折りの夜に
両手に持てるだけの愛
こんなところにいた
眠っている間に忘れてしまった百年のこと
蝶降る空にきみはいない
あの人は夜に死んだ
あと三分で昨日になる
好きという言葉はボタンの掛け違いに似て
冷凍少女
脆い爪先
かさねあるき
地を這う病
撃ち抜くのならかんたんだ(かんたん=簡単or肝胆)
われた雪夜に硝子が降る
然様ならば、僕の記憶
「ちょっとひとりぼっちでした」
割れ虫
こんにちは、魔物さん
眠るには明るすぎる
22時には彼が住んでた
抱きしめたいからリボンして歩く
「いいよ泣くな」
その花は手から
ひそやかな鼓動
うしろまえの恋
はやくこの身に夜をください
OK,sarrow.
ほんとうは泣いてる
かげろうは夢でばけものになるのです
三行で離れた恋情
どうか、正しい季節をください
それはどんなにしあわせだろう
煉獄に芽吹く木のように
牢獄に咲く花のように
触れぬが花
ベッドを出れば戦える
指輪サイズの恋
きみの薬指だけを食べたい
インクの重さで溢れた手帳
雨息(甘い木/あまいき)
「いま霧雨がふってた」
きっと優しい顔をした
傷飼う(気遣う)
「夜には雨が」
激情を指で描く
鍵を失ってしまった僕のひとみは
縫い鳥(ぬいとり)
「おなかがすくとさみしくなるね」
いつもなら夜空の色に染まるそのドアが
サンタクロースはおばけじゃない
あなたのいない朝が欲しい
無造作に摘まれた愛情
はだかで眠る
朝露にいばら